神戸電子専門学校の学生アイデアが社会へ!若者と献血をつなぐ3つのデザイン

学生が授業の中で生み出したアイデアが、教室を飛び出し、誰かが献血について考えるきっかけになる――。そんな学びと社会をつなぐ取り組みが、神戸電子専門学校で形になっています。

同校のインダストリアルデザイン学科では、兵庫県赤十字血液センターと連携し、若い世代に献血をより身近に感じてもらうためのグッズを企画・制作。学生たちが考案した3作品が、2026年夏から実際の献血記念品として順次採用されています。

スマートフォンをかざして献血アプリを起動できるキーホルダーや、雨の日に使えるアンブレラマーカーなど、そこにあるのは見た目の楽しさだけではありません。それぞれのアイデアには、献血を取り巻く課題と向き合った学生たちの視点があります。学生の発想がどのように「実際に使われるデザイン」へとつながっていったのか、その取り組みを見ていきましょう。

若い世代に献血を届けたい――神戸電子専門学校と血液センターが始めた挑戦

神戸電子専門学校のインダストリアルデザイン学科と兵庫県赤十字血液センターによる取り組みが始まったのは、2025年秋のこと。テーマとなったのは、若い世代に向けた献血啓発グッズのデザインでした。

学生たちが向き合ったのは、「若い世代が献血をより身近に感じるためには、どのようなデザインが必要なのか」という問いです。献血は多くの人の命を支える大切な取り組みですが、ただその必要性を伝えるだけではなく、自分たちと同じ若い世代が興味を持ち、日常の中で献血について考えるきっかけをどう作るか。学生たちは献血を取り巻く現状や課題を踏まえながら、それぞれのアイデアを具体的な形へと落とし込んでいきました。

このプロジェクトの興味深いところは、学生が学んできたデザインを、実際の社会にある課題と結びつけていることです。見た目を整えるだけではなく、「誰に届けたいのか」「何をきっかけに献血を意識してもらうのか」まで考える。そこには、教室の中だけでは得られない実践的なものづくりがあります。

そして2026年夏、学生たちが考案した作品の中から3つの献血啓発グッズが、実際の献血記念品として順次採用されました。若い世代へ献血を届けたいという思いから始まった産学連携は、学生たちのアイデアを実際の形へとつなげています。

学生ならではの発想が形に!献血を身近にする3つのアイデア

今回採用されたのは、「献血カード風NFCタグ付きキーホルダー」「お守り風NFCタグ付きキーホルダー」「けんけつちゃんアンブレラマーカー」の3作品です。どれも献血を身近に感じてもらうという目的は同じですが、学生たちが目を向けたポイントはそれぞれ異なります。

第1弾の「献血カード風NFCタグ付きキーホルダー」は、これまで親しまれてきた献血カードからアプリでの運用へ切り替わることを知った学生のアイデアから誕生しました。カードの形を残したキーホルダーにはNFCタグが付いており、スマートフォンをかざすと献血アプリ「ラブラッド」が起動します。日常の中で目にすることで献血を思い出し、次の献血を考えるきっかけにつなげる工夫です。

第2弾は、「献血感謝」「献心感謝」「命結感謝」「命紡感謝」という4つのメッセージをあしらった、お守り風のキーホルダー。献血への感謝を伝えながら若い世代にも身近に感じてもらえるよう、お守りという親しみやすいモチーフが選ばれました。こちらにもNFCタグが内蔵され、第1弾からさらに持ち歩きやすいサイズへと改良されています。

そして第3弾は、献血キャラクター「けんけつちゃん」を使ったアンブレラマーカーです。学生たちが着目したのは、天候にかかわらず血液の供給が必要だということ。雨の日の外出が少し楽しくなるアイテムを通じて、献血へ足を運ぶきっかけにつなげようと考えられました。雨のモチーフや「けんけつちゃん」、リングの色を組み合わせた全80種類が制作されるなど、思わず選びたくなる楽しさも盛り込まれています。

教室で生まれたアイデアが社会へ――“実際に使われるデザイン”に

学生が考えたアイデアが、作品として完成する。それだけでも一つの大きな経験ですが、今回のプロジェクトはそこで終わりません。学生たちが企画・制作したグッズは、兵庫県赤十字血液センターとの連携を通じて、実際の献血の現場で人の手に渡る記念品として採用されました。

第1弾の「献血カード風NFCタグ付きキーホルダー」は、2026年8月10日から16日まで兵庫県内の献血ルームで献血に協力した人への記念品に。続く「お守り風NFCタグ付きキーホルダー」は、同年9月から兵庫県内の献血ルームで受付をした高校生への記念品として採用されています。そして「けんけつちゃんアンブレラマーカー」も、9月から兵庫県や一部地域の献血ルームで実施される「雨の日限定キャンペーン」の記念品として活用されています。

つまり、学生たちが向き合った「若い世代にどうすれば献血を身近に感じてもらえるか」という問いへの答えが、アイデアや試作品の段階を越え、実際に誰かの手へ届いているということです。学校の課題として評価されて終わるのではなく、その先にいる人を意識したものづくりが、本当の社会とつながりました。

自分が考えたものが社会の中で実際に使われていく。今回の社会実装は、若い世代への献血啓発につながると同時に、学生たちにとっても、デザインが人や社会とどう関わっていくのかを実践の中で学ぶ機会となっています。

「創って学ぶ」から社会へ――神戸電子専門学校が大切にする実践の学び

今回の献血啓発グッズのように、学生のアイデアが実際の社会で使われるところまでつながっている背景には、神戸電子専門学校が大切にしている学びのスタイルがあります。同校がカリキュラムポリシーとして掲げているのが、「Learn by Creation / 創って学ぶ」です。

神戸電子専門学校は1958年に兵庫県神戸市で設立され、これまで2万人以上のデジタル専門職業人を産業界へ送り出してきました。現在はITをはじめ、ロボット、ゲームソフト開発、eスポーツ技術、建築、3DCG、グラフィックデザイン、製品デザイン、アニメ、サウンド、声優など幅広い分野の学科を設置。アイデアを考えるだけではなく、プロトタイプ制作を通じて実際に形にしていく実践的な学びを特徴としています。

また、各産業界を代表する企業との連携を通じた課題解決にも取り組んでおり、近年では学生が在学中に手がけたものが社会実装される事例も増えています。今回、インダストリアルデザイン学科の学生たちが兵庫県赤十字血液センターとともに取り組んだプロジェクトも、そうした学びが社会へつながった一例といえるでしょう。

学んだ技術を使って何かを作るだけでなく、その先にいる人や社会の課題に目を向け、自分たちのアイデアで形にしていく。教室での学びが誰かの暮らしや行動につながっていく今回の取り組みには、神戸電子専門学校が掲げる「創って学ぶ」という言葉が、そのまま表れているように感じられます。

小さなアイデアが、献血を身近にするきっかけへ

キーホルダーを目にしたとき、スマートフォンをかざしたとき、雨の日に傘を手にしたとき。そんな日常の何気ない瞬間が、献血について思い出したり、少し興味を持ったりするきっかけになるかもしれません。

今回生まれた3つのグッズには、若い世代に献血をもっと身近に感じてもらいたいという共通の目的があります。それぞれ異なる課題に学生ならではの視点から向き合い、自分たちが学んできたデザインを通して、一つひとつのアイデアを形にしてきました。

学生の学びが社会とつながり、そこで生まれたものが実際に誰かの手へ渡っていく。そして、その小さなグッズが誰かの次の行動につながっていく可能性もあります。若い感性と社会の課題が出会った今回の産学連携から、これからどのようなアイデアが生まれ、社会へ届けられていくのか楽しみですね。


神戸電子専門学校 概要

1958年に兵庫県神戸市で設立された専修学校です。「Learn by Creation / 創って学ぶ」をカリキュラムポリシーに掲げ、IT、ロボット、ゲーム、建築、3DCG、デザイン、アニメ、サウンド、声優など幅広い分野で、ものづくりを通じた実践的な教育を展開。企業との連携による課題解決にも取り組み、社会とつながる学びを実践しています。

公式サイト:https://www.kobedenshi.ac.jp