マシンガンズ滝沢も吠えた!“ワケあり”な足立区がマイナスイメージ払拭に挑む

みなさんは、東京都足立区についてどんなイメージをお持ちですか?
東京23区内の中でも、特に足立区は「治安が悪い」という否定的なイメージを持たれがち。これには、現在の区民はもとより足立区出身の方たちも、ずいぶん肩身の狭い思いをしていることでしょう。
そんなネガティブなイメージを払拭すべく、ついに足立区は立ち上がったのです。
先日、区内の東京電機大ホールにて「足立区マイナスイメージ払拭プロモーション発表会」が行われ、足立区のすばらしさ、そして足立区が取り組む将来のコンセプトについて語られました。

「治安が悪い」イメージはもう古い!?

足立区 制作経営部課長 栗木希氏

足立区で制作経営部課長をつとめる栗木氏はまず、足立区のこれまでと現状についてデータをもとに説明してくれました。

15年前の’09年の世論調査では、区民の約3割が足立区のイメージについて「治安が悪い街」、そして1割強が「きたない街」と回答しています。さらに「足立区について誇りを持っているか」という調査では、実に約半数が「そう思わない」と回答したという悲しいデータが出ました。
実際に刑法犯認知件数は、’01年に16,843件というとんでもない数字が出ています。さらに、’06年から’09年までは、都内ワースト1という不名誉な記録も。
このデータを見る限り「やはり足立区は治安が悪い」と思われても仕方がありません。

ところが、このグラフのとおり現実には刑法犯認知数は年々減少しているのです。コロナ禍の影響もあったのか、’21年には最小の3,212件と大幅にダウンしているのがわかります。栗木氏はこの現状について次のように分析します。
「地域と警察が連携し、街の治安を守る取り組みに力を入れた結果でしょう。また、東京電機大をはじめとした大学の誘致をすることで、“学生の街”としてのイメージづくりにも成功しました。さらに、北千住や綾瀬エリアでは大型マンションの建設も進み、区民の層も変わりつつあります」

その結果、’13年には「治安が良いと思う」が「治安が悪いと思う」を上回り、’22年では区民のおよそ6割が「治安が良い」と回答しています。足立区の取り組みが実を結んだということですね。

ところがその一方で、足立区を除く東京23区の在住者(区外在住者)の実に約6割が足立区に対する総合イメージおよび治安について「悪い」と答えています。その理由については、およそ半数が「なんとなくそう思う」「メディアの影響」というフンワリした回答でした。
この結果について栗木氏はため息まじりにこう語ります。
「足立区の現状をよく知らない区外在住者に、悪いイメージが定着してしまっているのでしょう。実は大学も6校あるし、おしゃれなカフェも増え、昔と比べてずいぶんあか抜けた街になったのに、と思います。このままでは、イメージアップのためにさまざまな取り組みを行ってきたものが水の泡になりかねません。」

ネガティブイメージを逆手にとったコンセプト

そこで足立区では、区外在住者に向けてイメージアップのために動き出します。コンセプトは「ワケあり区、足立区」。つまり、マイナスイメージを逆手に取ってやろう! という考えです。
なかば自虐的ではありますが、なんとも個性的で足立区の“らしさ”を感じられます。
「他の候補には『足立区に住んだら武勇伝』もあったのですが、これはあまりにも自虐が過ぎるということで却下になりました」
栗木さんからは、そんな面白い裏話も飛び出しました。では具体的にどんなプロモーション活動を行うのでしょう?

今回、足立区は区民やゆかりのある方々の協力のもと、それぞれのリアルな声を載せたポスターを製作。これらは北千住駅構内をはじめ、東武線車内のドア横広告、トレインビジョンなどで展開します。
また、SNSや区の特設サイトに誘導し、プラスの魅力を発信。足立区のリアルを知ってもらうことで、区外在住者が抱いていた足立区のマイナスイメージの払拭を目指します。

足立区育ちの芸人が語る足立区の魅力

マシンガンズ 滝沢秀一氏

栗木氏に続いて登壇したのは、お笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢氏。現在は芸人のかたわらゴミ清掃員としての一面も見せています。 滝沢氏は3歳のころから青年期までを足立区で過ごしていたとのこと。栗木氏とともに、足立区の魅力について語ってもらいました。

足立区の魅力について語るふたり

滝沢秀一氏(以下、滝沢) 僕が少年・青年時代に過ごしていたころは、“石を投げればヤンキーに当たる”と揶揄されるほど、治安が悪かったです。車検場通りから環七にかけて暴走族だらけでしたね(笑)。周りの人には、足立区育ちというと「かわいそう」と言われます。何でかわいそうなんだよ! 僕が通っていた足立高校は、卒業生にビートたけしさんがいるんだぞ!

栗木希氏(以下、栗木) 現在はピーク時に比べて犯罪が8割減りました。これは“ビューティフル・ウィンドウズ”を行った結果だと思います。「割れ窓理論(ブロークン・ウィンドウズ)」と言って、割れた窓ガラスを放置することで地域全体が荒廃して治安が悪くなり、犯罪も増える――。その対策としての取り組みです。

滝沢 つまり、街を美化することで犯罪を抑止させようということですね。それはゴミ清掃の仕事をしている時に実感します。乗り捨てられた自転車やラクガキなどで集積所が荒れているのを見ると「ああ、この地域は治安が悪いんだな~」と思いますもん。

栗木 ほかにも足立区は、学校給食にも力を入れているんですよ。「おいしい給食」を食べて、食べ残しによるゴミを減らそうという取り組みです。

滝沢 僕が小学校中学校のころは給食マズかったもんなー。クラスメイトもほとんど残していましたから。

栗木 学校によって味にバラつきがあったため、管理栄養士の指導によって統一することにしました。また、足立区の学校給食は天然だしを使っています。子どものころから“舌を鍛える”という食育への取り組みですね。

滝沢 いいなあ。今の給食食べてみたいです! ほかにも足立区は銭湯もたくさんあるし、古民家を改装したおしゃれなカフェもあります。また、路地のレトロな飲み屋街も魅力ですよ。帰りに飲みに行こうかな。 栗木 足立区は、古き良き文化と新しい文化が融合した街。このプロモーションによって、区外在住者にもっと足立区の魅力を知ってもらいたいです。

足立区の将来の展望とは?

現在、「足立区のイメージが良い」と答える区外在住者は、現在約2割。
足立区は、これを区制100周年となる’32年度までに5割まで上昇させ、足立区民が「さらに誇れるまち」となることを目指しています。

足立区は隅田川や荒川などの自然や、寺社なども魅力のひとつ。お休みの日にはお出かけしてみてはいかがでしょうか。

足立区サイト『ワケあり区、足立区。』
https://www.city.adachi.tokyo.jp/citypro/wakeariku.html

<取材・撮影・文/櫻井れき>