「お金について学ぶ」と聞くと、数字や難しい言葉が並ぶ授業を思い浮かべる人もいるかもしれません。そんなイメージとは少し違う金融教育の場が、2026年9月6日、千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で開かれました。参加したのは約20名の中高生。お金について学ぶだけでなく、その内容を小学生にも伝わる動画にするというユニークな取り組みに挑戦しました。
テーマを考え、仲間とアイデアを出し合い、自分たちの言葉で形にしていく。知識を受け取るだけではなく、「どうすれば相手に伝わるだろう」と考えるところまでが今回の学びです。
さらに、昨年このワークショップに参加した中高生が、FESコンテスト®での受賞を経て、今年は自身の経験を伝えるゲストとして参加しました。一度の体験で終わらず、そこで得たものが次の挑戦へとつながっていく――。木更津で行われた金融教育ワークショップから、若い世代がお金を学ぶ新しい形を見ていきます。
中高生がお金を学び、自分たちの言葉で伝える!木更津で金融教育ワークショップ

2026年9月6日、千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で、中高生を対象とした金融教育ワークショップ「FESコンテストへの道 in 千葉県木更津市」が開催されました。主催したのは、若い世代への金融教育に取り組む一般社団法人日本金融教育支援機構。木更津市での開催は今回で3回目となり、約20名の中高生が参加しました。
ワークショップでは、京葉銀行の木村有紀子さんによる講義を通じて、お金にまつわる知識を学びました。参加者たちは話を聞くだけではなく、学んだことをもとにグループでアイデアを出し合い、「小学生にも伝わる金融教育動画」の制作にも挑戦。自分たちでテーマや内容を考え、企画から撮影、発表まで取り組みました。

また、グループワークでは「木更津市ならではの特徴」について考える時間も設けられました。世代や所属の異なる参加者が一緒になって意見を交わしながら、一つのものを作り上げていくことも今回のワークショップの特徴です。金融教育というと、知識を身につけることに目が向きがちですが、学んだことを誰かに伝えるために考え、仲間と形にしていくところまで含まれているのが印象的です。
今年度、全国各地で開催されてきた「FESコンテストへの道」ワークショップは、今回の木更津市で最終回を迎えました。講義を聞くだけではなく、地域について考え、仲間と意見を交わしながら動画制作まで取り組んだ中高生たち。さまざまな人との交流も含めて、お金について考える一日となりました。
学んで終わりじゃない。“小学生に伝える”から見えてくるお金のこと

今回のワークショップで大切にされているのは、お金について「学ぶ」だけで終わらないことです。参加した中高生は、「使う」「稼ぐ」「貯める」などの「お金の8つの力」について学んだあと、グループごとにテーマを選び、小学生に向けた金融教育動画の制作に取り組みました。
動画を作るためには、まず自分たちが内容を理解し、それを相手に伝わる言葉へ置き換える必要があります。大人でも難しく感じることがあるお金の話を、小学生にも分かりやすく伝えるにはどうすればいいのか。仲間と意見を出し合いながら考える時間そのものが、学んだ知識をもう一度自分たちの中で整理する機会にもなりそうです。

さらに、考えた内容を動画という形にするのも、この取り組みならでは。参加者は企画だけでなく撮影にも挑戦し、完成した動画を発表しました。ただ正しい知識を並べるのではなく、「誰に、どう伝えるか」まで考えて形にしていくところに、一般的な授業とはひと味違う面白さを感じます。
お金は、買い物や貯金などを通じて中高生にとっても身近な存在です。その身近なテーマを自分たちで考え、今度はさらに下の世代へ伝えていく。知識を受け取る側から一歩踏み出して「伝える側」になる経験は、金融についてより深く考えるきっかけにもなりそうです。
昨年は参加者、今年は経験を伝える側へ――次の挑戦者につながるバトン

木更津市でのワークショップは今回で3回目を迎え、これまでの参加者と新たな参加者をつなぐ場面も生まれています。昨年は動画制作に挑戦する側だった参加者が、今年は自身の経験を伝える側として再びこの場に加わりました。
昨年度のワークショップに参加した西川実穂さんです。当時、西川さんらが制作した金融教育動画「闇バイト ダメ!!絶対!!」は、その後「FESコンテスト®」の千葉県地区大会で知事賞を受賞。さらに全国大会でも奨励賞と小学生審査員賞に選ばれました。
今年はゲストとして、FESコンテスト®に挑戦した経験や動画制作について、新たに参加した中高生たちへ伝えました。一年前に自分が経験したことを、今度はこれから挑戦する人たちへ手渡していく。こうしたつながりが生まれていることも、この取り組みの興味深いところです。
もちろん、コンテストで賞を獲得することも大きな成果です。しかし、その経験が受賞した本人だけのものとして終わらず、次に挑戦する中高生たちの学びにもつながっていくところに、FESコンテスト®やワークショップを継続して開催する意味の一つが見えてきます。
今年参加した中高生たちも、今回の動画制作をきっかけに、この先どんな経験を重ねていくのでしょうか。昨年の参加者から今年の参加者へと渡されたバトン。その先にどんな挑戦が待っているのか、これからの展開も楽しみです。
お金の知識を、その先の「生きる力」へ。日本金融教育支援機構が目指すもの

今回のワークショップを主催した一般社団法人日本金融教育支援機構は、2022年に設立された民間の金融教育団体です。掲げている理念は「人生の選択肢を増やす金融教育を」。学校や行政とも連携しながら、年齢や立場に応じた金融教育を届けています。今回のようなイベントだけでなく、学生のキャリア教育や企業の従業員向け金融教育など、活動の対象は幅広い世代に及びます。
特徴的なのが、お金について学ぶことを単なる知識の習得で終わらせていないことです。同機構では、日常生活と関わりの深い「使う・稼ぐ・納める・貯める・備える・贈る・借りる・増やす」を「お金の8つの力」として整理。お金との付き合い方を学ぶことを通して、自分の人生を自分で選んでいく力につなげようとしています。
その考え方を象徴する取り組みのひとつが「FESコンテスト®」です。中高生が「お金の8つの力」からテーマを選び、小学生にも伝わる45~60秒の動画を制作します。運営には大学生が関わり、小学生も審査に参加。教える人と教わる人が固定されるのではなく、年代の異なる子どもや学生たちがそれぞれの立場から金融について考えられる仕組みになっています。
お金は、年齢を重ねてから突然必要になる知識ではなく、買い物や進学、仕事など、これからさまざまな場面で人生と関わっていくものです。だからこそ、難しいものとして遠ざけるのではなく、若いうちから身近なテーマとして触れてみる。今回の木更津でのワークショップにも、そんな同機構の金融教育に対する考え方が表れているように感じます。
お金を学ぶことから始まる、次の一歩
「お金について学ぶ」というと、正しい知識を身につけることがゴールのように思えるかもしれません。しかし今回のワークショップでは、学んだことを自分なりに考え、小学生にも分かるように伝えるところまで中高生たちが挑戦しました。誰かに伝えようとすることで、自分自身の理解も深まっていく。そんな学び方も、金融教育を身近にする一つの方法なのかもしれません。
そして印象的なのは、昨年この場所で挑戦した参加者が、今年は自身の経験を伝える立場として戻ってきたことです。一度のワークショップやコンテストで終わるのではなく、そこで得た経験が次の誰かの挑戦につながっていく。金融の知識だけでなく、人の経験まで受け継がれていくところに、この取り組みならではの温かさを感じます。
今回参加した中高生たちが、これからお金と向き合う中で、ここで学んだことをどのように生かしていくのか。そして、自分たちが考えたことを次は誰に伝えていくのか。木更津で生まれた一つひとつの経験が、それぞれの未来へつながっていくことを期待したいですね。
一般社団法人日本金融教育支援機構 概要
一般社団法人日本金融教育支援機構は、「人生の選択肢を増やす金融教育を」を理念に掲げ、金融教育の普及に取り組む民間団体です。
子どもや学生をはじめ幅広い世代を対象に、学校や行政などとも連携しながら金融教育を展開。中高生が金融教育動画を制作する「FESコンテスト®」などを通じ、お金について主体的に考え、生活や将来に生かすための学びを届けています。
公式サイト:https://faincation.com/









