現代版組踊「肝高の阿麻和利」が4年ぶりに東京で上演! 沖縄県うるま市が誇る“勝連の英雄”の物語を地元の中高生が熱演

「感動産業特区」を合言葉にシティプロモーションを展開する沖縄県うるま市は、その活動の一環として、沖縄の伝統芸能「組踊」に現代音楽・ダンスを融合した現代版組踊「肝高の阿麻和利」の東京公演を開催しました。同市で20年以上にわたって継承されてきた本作の主役は、オーディションによって選ばれた地元の中高生たち。東京・文京区の文京シビックホールを会場に、8月20日・21日の2日間にわたって計4回行われた公演はいずれも満席の大盛況で、76名の若者たちの熱演が、真夏の東京に熱い感動を巻き起こしました。

うるま市に伝わる“伝説”を現代風にミュージカル化

沖縄本島中部の東海岸沿いに位置する沖縄県うるま市。勝連半島と4つの島が海中道路でつながる独特の景観を持ち、闘牛やエイサーなど伝統文化が盛んな同市には、ユネスコの世界文化遺産に登録されている史跡「勝連城跡」があります。この日演じられる「肝高の阿麻和利」の主人公・阿麻和利(あまわり)は、この城の10代目城主だった人物。15世紀前半、勝連で悪政をふるっていた望月按司を城から追い出し、新たな城主となった阿麻和利は、「肝高き(誇り高き)」人物として長く語り継がれています。
「肝高の阿麻和利」は、沖縄の伝統芸能である「組踊り」に現代音楽やダンスを組み合わせ、阿麻和利の半生を“沖縄版ミュージカル”として描いた作品です。2000年の初演以来、20年以上にわたって地元の中高生に受け継がれながら、これまでに国内外で351回の公演を重ね、延べ20万人以上を動員してきました。2009 年には、日本ユネスコ協会連盟による「第一回プロジェクト未来遺産」にも登録されています。
うるま市と文京区がどちらも岩手県盛岡市と友好都市関係を結ぶという縁で、3自治体の“三角連携”という形で開催が決まったという今回の東京公演。2日目の公演となったこの日の上演前には、文京区の成澤廣修区長とうるま市の中村正人市長がステージに上がり、それぞれ開催の喜びを語りました。

今回がお披露目となった「あまわりくん」「ももとちゃん」の両キャラクターと一緒に登場し、うるま市の自然や文化などの魅力を紹介した中村市長は、「長時間になりますが、最後の最後までお楽しみいただければと思います」と挨拶。

一方、かりゆしウェア姿で登場した成澤区長は、出演者の子どもたちのために東京ドームアトラクションズのチケットを手に入れてきたことを明かし、粋なサプライズで上演前の会場を盛り上げました。

熱く、心を震わせ、涙を誘う、阿麻和利の物語

そして、とうとうお待ちかねの「肝高の阿麻和利」が開幕!
15世紀前半から19世紀後半まで約450年間にわたり、琉球王国の名で独立国家として存在した現在の沖縄県。大陸や南方の島国とも外交関係にあった琉球王国は中継貿易で栄え、豊かな富を背景に独自の文化が花開きました。そうした中、阿麻和利が活躍したのは、王国が統一されて間もない、まだ動乱の続いていた時代のこと。
郷土の英雄として讃えられる阿麻和利ですが、実は沖縄全体の歴史上では、首里城への攻撃を企てた逆賊として伝えられることも少なくなく、その実像には今も謎が多く残っています。全5章で構成される本作では、勝連城跡で謎の巻物を授かった現代の子どもたちの視点を通じ、阿麻和利の半生を辿り、“その最期の真実”に迫っていきます。

まずは、メインキャストによる「肝高の歌」の合唱で始まったステージ。

オーディションで選ばれた76名の中高生による溌剌としたパフォーマンス。生演奏の琉球楽器の音色も心地いい。

肝高王から授かった巻物を手に「阿麻和利の乱」の真実に迫る現代の子どもたち。

船に乗って登場し、仲間と手を組んで、打倒・望月氏を決意する阿麻和利。

望月氏から勝連城を奪い、阿麻和利が新しい按司に。

出演者たちの息のあったダンスと若さが弾けるステージ。時折り観客からも手拍子が起こり、場内全体に一体感が生まれました。

阿麻和利のもとに新たな危機が…。勝連城や首里城をリアルに再現した空間演出もお見事!

首里の尚泰久王の娘で、政略結婚で阿麻和利のもとに嫁がせられながらも、阿麻和利の誠実な人柄に惹かれていく百十踏揚(ももとふみあがり)。夫婦の硬い絆も見どころに。

勝連の民のことを思う阿麻和利の言葉が心を打つ涙の終盤。
躍動感あるパフォーマンスと熱いストーリーに引き込まれるうち、あっという間に時間は過ぎ、最高潮の盛り上がりのまま、物語は感動のクライマックスへ。

ラストには会場総立ちのスタンディングオベーションが巻き起こり、約2時間の上演を走り切った出演者に感謝のエールが贈られました。

終演後には即興による合唱も

この日は、うるま市から闘牛のオブジェが上京。また、うるま市の特産品を売る物産店も登場し、場内全体が沖縄カラーに染まりました。さらに終演後には出演者たちから、即興による歌のプレゼントもあり、いつまでも熱気が冷めない雰囲気に。

大成功に終わった2023年の「肝高の阿麻和利」東京公演。青春真っ盛りの若者たちが生み出す元気でエネルギッシュなパフォーマンスは、まさに「感動」のひとことでした。「肝高の阿麻和利」は定期的に公演が行われているので、下記の公式ホームページ詳しい公演情報を確認し、ぜひ生でこの感動を味わってみてはいかがでしょうか。


■現代版組踊「肝高の阿麻和利」公式ホームページ
https://www.amawari.com

■沖縄県うるま市「感動産業特区」宣言について
具志川市、石川市、勝連町、与那城町が合併し、2005年に誕生したうるま市。沖縄本島中部に位置する同市は約12万6千人の人口を擁し、那覇市、沖縄市に次ぐ沖縄県第3の都市として知られています。 2023年4月26日、多くの人々を感動させる地域であり続けるために、同市は全国初となる「感動産業特区」宣言しました。 活動を推進するアンバサダーには、地元の中高生が中心となり活動をしている現代版組踊「肝高の阿麻和利」を認定。“「感動」を「産業」に”を合言葉に、行政だけでなく、市内事業者および市民の方々を含めた地域全体でのまちづくりを推進しています。