太陽ファルマテック 新福利厚生施設を災害時の一次避難所とする協定を市と締結

太陽ホールディングス株式会社の子会社で、医薬品製造受託事業を担う太陽ファルマテック株式会社が、11月24日に大阪・高槻市の本社工場敷地内に開設する新しい福利厚生施設の記者発表会および施設内覧会を実施しました。

記者発表会には高槻市公式マスコットキャラクター「はにたん」も駆けつけました。
「T-LINKS(ティーリンクス)」と名付けられた、こちらの施設のデザインコンセプトは「みんなのリフレッシュテラス=環境と人に優しい木陰の空間」。環境配慮を目的とした大きな庇屋根が特徴で「巨大なのに外観にも木がふんだんに使われていて、どこか温かみのある建物だなぁ」と、思わず見とれてしまうほど。デザインを手掛けたのは、建築家・隈研吾氏とともに新国立競技場の設計責任者を務めた川野久雄氏と聞いて「なるほど」と納得です。
施設内には社員用の食堂や更衣室に加え、トレーニング室や研修室、入浴施設などが完備されていますが、圧巻なのはバドミントン女子シングルス日本代表でプロバドミントン選手の奥原希望選手(太陽ホールディングス所属)が監修した「アリーナ」と呼ばれる体育館です。東京体育館などと同じ国際競技認定の床材や、競技用照明の光がプレーの妨げや近隣住民への迷惑にならないように配慮された屋根など、考えに考え抜かれたつくりがなされているそうです。

アリーナを監修した奥原希望選手からはビデオメッセージが寄せられました。
T-LINKSという名称は、同社社員からの103件の応募の中から決められましたが、これは次のような3つの意味が合わさったものになっています。
●太陽ファルマテックと高槻市のローマ字表記頭文字=「T」
●社員同士だけでなく、太陽ファルマテックと高槻市の人々を“繋ぐ”=「LINK」
●LINKと同じ読み方で、場所を意味するRINK= 2つの意味を持つ複数形の「S」
これらからもわかるように、T-LINKSは太陽ファルマテック社員のための福利厚生施設であると同時に、地元地域である高槻市とも密接な関係をもつことになります。企業市民としての意識も強く、名称もそれが反映されたものになったのは必然的なことなのでしょう。 また、災害発生時などの有事には帰宅困難者や近隣住民の避難場所としての活躍も期待されています。というのも、2018年の大阪府北部地震で最大震度6弱を観測した高槻市では、発生確率の高い南海トラフ地震などの自然災害の発生に備えた、災害に強い「強靭なまちづくり」を進めており、300名以上の社員に加えて外部から200名の受け入れが可能なT-LINKSは、市内でも2番目に大きな一次避難所としてもこれから機能します。新厚生施設竣工を受け、「災害時における帰宅困難者の受け入れ等に関する協定書」が高槻市と、「災害時における近隣住民の受け入れ等に関する協定書」を近隣自治会と締結されました。T-LINKSは企業と地域住民をつなぐ、新しい福利厚生施設として期待されています。

日本家屋をイメージしたという外観のデザインは、水平方向に分割することで近隣住宅への圧迫感を軽減。建物全体を庇屋根は日射を低減する役割もあるそうです。

玄関前から庇屋根を見上げると、その大きさに圧倒されます。

ガラス張りで開放的なレセプション。

完全特注の大型ソファが来訪者を出迎えてくれます。

壁面には、京都を拠点に創作和紙を制作し、在日フランス大使館大使公邸や鎌倉長谷寺などにも作品を設置している堀木エリ子氏の光壁で、温かな空気感を演出しています。

1階 マシンジム
約7種類の器具を設置したマシンジムは、開放的で外の緑を楽しみながらリラックスできる空間です。

1階 アリーナ
奥原希望選手が初めて監修したアリーナ。国際競技認定の床材を使用したフローリングは、従来のものと比較して緩衝性があり、膝や腰を痛める可能性が低く転倒時の怪我のリスクを低減するそうです。

特徴的な傾斜屋根は、プレーの妨げにならないように十分な高さを確保するだけでなく、近隣の住宅地に対して競技用の照明の光が公害にならないように配慮されています。

1階 カフェテリア
アリーナの奥にあるカフェリアは、自分に合った場所を選択できるように複数のエリアが用意されています(写真は雲海をイメージした和紙のワーロンルーパーが天井に設置された雲海エリア)。

縦格子で軽く仕切られた木立のグループエリア。

施設内覧会で提供されたカフェテリアのメニュー。とくに唐揚げは絶品でした。

2階 浴室
浴室は災害時の一般利用を踏まえ、利用者が気持ちを安らげることができるようにつくられています。

2階 パウダールーム
機能面だけでなく、落ち着きを感じつつもある種の高揚感を覚えるような質の高い意匠を施したパウダールーム(写真は女性側)。

2階 ROOM(会議室)
可動間仕切りで大部屋に変容な可能な会議室は、アリーナで催しがある時には観覧しながらパーティーを行うこともできます。

3階 天空回廊
和室へと向かう屋外廊下には笹が植えられ、まるで木漏れ日の中の小道を歩いているかのような気分にさせてくれます。

3階 和室
ふすまを収納することで大広間にもなる和室。両サイドの壁面には、東京国立博物館や在日インドネシア大使館などにも携わった左官職人・久住有生氏の作品が設置されています。

3階 テラス
グループ会社の食糧事業のノウハウを活かした水耕栽培エリアを設けたテラス。こちらで栽培されたリーフレタスやハーブなどの葉物野菜はカフェテリアのメニューに活用されます。