水族館で魚を眺めるだけではなく、自分の動きによって作品が変化する――そんな”体験するアート”が、この夏、島根県立しまね海洋館アクアスに登場しています。
展示を手がけたのは、東京工芸大学芸術学部インタラクティブメディア学科の学生たちです。足踏みポンプで泡を送り出すと海の生き物たちがさまざまな反応を見せる作品「おさかな研究ラボ びっくりーず」をはじめ、子どもから大人まで楽しめるインタラクティブアートを通して、テクノロジーとアートが融合した新しい体験を届けています。
さらに今回は、しまね海洋館アクアスだけでなく、浜田市世界こども美術館でも企画展を同時開催。地域と大学が連携し、学生たちが学びの成果を社会へ発信する取り組みとしても注目されています。
作品を楽しむ子どもたちの笑顔の先には、学生たちが積み重ねてきたどんな学びや挑戦があるのでしょうか。この夏だけの体験型アートの魅力と、その舞台を支える東京工芸大学の取り組みをご紹介します。
水族館で出会う“体験するアート” 学生たちが生み出した「おさかな研究ラボ びっくりーず」

島根県立しまね海洋館アクアスでは、2026年7月4日から9月27日まで企画展「こども美術館展覧会 in アクアス」が開催されています。その中で来場者の注目を集めているのが、東京工芸大学芸術学部インタラクティブメディア学科4年生5人が制作した体験型アート作品「おさかな研究ラボ びっくりーず」です。

この作品は、海の生き物を描いたイラストを眺めるだけでは終わりません。来場者が足踏みポンプを使って水槽の中へ空気を送り込み、泡を発生させると、生き物たちが驚いたようにさまざまな反応を見せる仕掛けになっています。自分の動きによって作品が変化するため、子どもはもちろん、大人も思わず夢中になってしまうような体験が楽しめます。「見る」だけではなく、「触れて」「動かして」「反応を楽しむ」。そんなインタラクティブアートならではの魅力を、水族館という海の世界を身近に感じられる場所で体験できることも、この企画展ならではのポイントです。

企画展初日の7月4日には、作品を制作した学生たちによる作品紹介も行われました。さらに、研究室に所属する3年生が「海の仲間たちのオリジナルぷくぷくシールを作ろう」と題した創作ワークショップを開催し、多くの来場者が海の生き物をテーマにしたものづくりを楽しみました。

水族館で過ごす時間に、アートとものづくりの楽しさが加わる今回の企画展。子どもたちの好奇心を刺激するだけでなく、家族みんなで新しい発見ができる夏のイベントとなっています。
島根県立しまね海洋館アクアス 企画展「こども美術館展覧会 in アクアス」
展示期間:2026年7月4日(土)~9月27日(日)午前中まで
公式サイト:https://aquas.or.jp/newstopics/post-19080/
水族館だけじゃない 浜田市世界こども美術館でも広がる体験型アートの世界

今回のしまね海洋館アクアスでの取り組みは、実は、島根県浜田市にある浜田市世界こども美術館で開催されている、企画展「さわっ手たのしむタッチミュージアムⅡ~森と海」との地域連携プロジェクトとなっており、こちらの企画展でも、東京工芸大学インタラクティブアート研究室の作品が展示されています。

こちらの企画展では、浅野耕平教授によるインタラクティブインスタレーション作品をはじめ、研究室に所属する4年生や卒業生が制作した作品など、合わせて8点を公開。来場者は作品を「見る」だけではなく、実際に触れたり体験したりしながら、アートと自然を身近に感じられる展示を楽しめます。作品ごとに異なる表現や仕掛けが用意されているため、アクアスとはまた違った視点でインタラクティブアートの魅力に触れられることも、この企画展ならではの見どころです。

この2つの企画展は、浜田市世界こども美術館と島根県立しまね海洋館アクアスが連携して開催している地域プロジェクトです。それぞれ異なる施設でありながら、「森」と「海」をテーマにした展示を通じて、子どもたちが自然や文化、アートに親しめる機会を生み出しています。水族館と美術館、それぞれの特色を生かした展示が用意されていることで、一度の訪問でもさまざまな発見や体験を楽しめる内容となっています。
アクアスで海の生き物をモチーフにした体験型アートを楽しみ、美術館ではさらに多彩な作品に触れる。2つの会場を巡ることで、東京工芸大学の学生や研究室が手がけるインタラクティブアートの魅力を、より深く感じられる企画となっています。
浜田市世界こども美術館 企画展「さわっ手たのしむタッチミュージアムⅡ~森と海」
展示期間:2026年7月4日(土)~9月27日(日)午前中まで
公式サイト:https://www.hamada-kodomo-art.com/exhibition/
子どもたちの「楽しい!」が、学生たちの次の学びにつながる

今回の企画展が特別なのは、学生たちが制作した作品を展示するだけで終わらないことです。実際に多くの来場者が作品に触れ、その反応を間近で感じられることも、この取り組みの大きな魅力となっています。大学で学んできた知識や技術が、地域の子どもたちや家族との交流を通して新たな学びへとつながっていきます。
東京工芸大学芸術学部インタラクティブメディア学科では、作品づくりだけではなく、「人に体験してもらうこと」までを大切にしています。今回展示された作品も、実際に触れたり動かしたりすることで初めて完成するインタラクティブアートです。来場者がどのような表情を見せ、どんな反応をするのかを直接感じられることは、学生たちにとって教室では得られない貴重な経験になります。
こうした地域とのつながりは、今回初めて始まったものではありません。浅野耕平教授は2013年から浜田市世界こども美術館でインタラクティブ作品の展示を続けており、その積み重ねが今回の地域連携プロジェクトへとつながっています。長年築かれてきた信頼関係があるからこそ、水族館と美術館、そして大学が連携する今回の企画が実現しました。
作品を制作した学生たちはもちろん、作品に触れた子どもたちや家族、そして地域の施設。それぞれが新しい発見や学びを持ち帰ることができる今回の企画展は、アートを楽しむ場であると同時に、人と人をつなぐ学びの場にもなっています。学生たちの挑戦が地域へ広がり、その地域との出会いがまた新しい挑戦を生み出していく――そんな温かな循環を感じられる取り組みです。
テクノロジーとアートを融合し、新しい表現を生み出す東京工芸大学

今回の企画展からは、東京工芸大学が大切にしている教育の姿勢もうかがえます。同大学芸術学部インタラクティブメディア学科では、テクノロジーとアートを組み合わせた新しい表現を学びながら、社会の中で活躍できるクリエイターの育成に取り組んでいます。
学生たちは、CGやWeb、インタラクティブアート、サウンドなど幅広い分野を横断的に学び、それぞれの知識や技術を組み合わせながら作品づくりを行います。ただ作品を完成させることがゴールではなく、「どのように人へ届けるのか」「どんな体験を生み出せるのか」まで考えながら制作に取り組んでいることも、この学科ならではの特徴です。
今回アクアスや浜田市世界こども美術館で展示されている作品も、そうした学びの積み重ねから生まれました。教室の中だけでは得られない実践の場で、多くの人と作品を通じてつながる経験は、学生たちにとって次の創作へとつながる大きな財産になっていくことでしょう。
1923年の創立以来、東京工芸大学はテクノロジーとアートの融合という理念を大切にしながら教育と研究を続け、2023年には創立100周年を迎えました。これからも学生たちの自由な発想と挑戦を支えながら、地域や社会とつながる取り組みを通じて、メディア芸術の新たな可能性を発信し続けていくことが期待されます。
学びと笑顔をつなぐ、東京工芸大学の体験型アート
水族館で体験型アートを楽しめる企画展として注目を集める今回の展示は、子どもから大人まで新しい発見や驚きを味わえるだけでなく、その背景には東京工芸大学の学生たちが積み重ねてきた学びや挑戦があります。
また、しまね海洋館アクアスと浜田市世界こども美術館が連携して開催されている点も、この取り組みならではの魅力です。地域と大学が協力し、それぞれの施設の特色を生かした展示を実現することで、アートや自然に親しむ機会を広げています。
作品を通して誰かを笑顔にすること、その笑顔や反応が次の作品づくりにつながっていくこと。今回の企画展は、そんな温かなつながりを感じられる取り組みと言えるでしょう。夏休みに島根県を訪れる予定がある方は、学生たちのアイデアが詰まった体験型アートに触れながら、東京工芸大学が育む創造力や地域とのつながりにも目を向けてみてはいかがでしょうか。
東京工芸大学 概要

東京工芸大学は1923年創立の「小西寫眞専門学校」を前身とする私立大学です。創立当初からテクノロジーとアートの融合を教育・研究の柱とし、2023年には創立100周年を迎えました。
芸術学部を中心に写真や映像、デザイン、インタラクティブメディア、アニメーション、ゲーム、マンガなど幅広い分野を学ぶことができ、創造力と技術力を兼ね備えた次世代のクリエイター育成に取り組んでいます。









