敬老の日を迎えて、【100年生活者調査:世代間コネクション編】が発表され、年齢差10歳以上の交流が長寿への意欲を高める結果に

Hakuhodo DY Matrix社のシンクタンクである「100年生活者研究所」は、20代から80代までの男女728人を対象に、人生100年時代における幸福度と世代間交流の関係性についての意識調査を実施しました。
2023年2月に行われた100年生活者研究所の調査によれば、敬老の日に祖父母、両親、またはシニアの方々に対して「特に何もしていない」と回答した人が72%に上り、世代間のつながりが希薄になっていることが示されました。このような背景から、当研究所は人生100年時代における幸福に世代間交流がどのように影響するかを調査しました。
その結果、家族、親戚、または職場以外で、年齢が10歳以上離れた人との交流を「世代間コネクト」と定義すると、世代間コネクトを持つ人は約半数で、趣味による出会いが多い傾向にありました。また、当研究所が設立時に実施した調査では、100歳まで生きたいと考える人が3割であったことを考慮し、今回の調査では「100歳まで生きたい」という気持ちへの影響を調査しました。その結果、世代間コネクトを持つ人は、持たない人より1割以上「100歳まで生きたい」という気持ちが高いことが明らかになりました。
調査結果に対して、シニアインフルエンサーの大崎博子さんは「普段、交流している人は年下ですが、共通の話題であるスポーツを通じて盛り上がっています」というコメントを寄せています。

【100年生活者調査~世代間交流編~】サマリー

1. 世代間コネクトを持つ人は約半数。世代間交流の良い点として「新しい気づき・価値観を得られる」「同世代では分からない・知らないことを教えてくれる」が上位に挙がった
2. 自由回答から世代間コネクトを持つきっかけは、共通の話題となる「趣味」が多い傾向にあった
3. 「100 歳まで生きたい」という気持ちは世代間コネクトを持っている人の方が 10%以上高かった

【100年生活者調査~世代間交流編~】結果詳細

Q1. あなたは普段、世代が離れた人と交流をしていますか(家族・親戚・職場の人を除く)

この質問では、世代間コネクトを持つ人の割合を調査しました。ここでは、高齢者で10歳以上年下の人と交流があることを「年下コネクト」、20歳から64歳で10歳以上年上の人と交流があることを「年上コネクト」として分類し、それぞれの割合を比較しました。その結果、年下コネクトを持つ人は46%で、年上コネクトを持つ人は49%でした。

Q2.世代が離れた人との交流の良い点について、あてはまるものを全てお選びください

Q1で「交流がある」と回答した人々に対して、交流の良い点について質問しました。その結果、年下コネクトの61%が「交流を通して新しい気づきや価値観を得られる」と回答し、最も多い結果となりました。一方、年上コネクトでは「交流を通して新しい気づきや価値観を得られる」および「同世代では分からないことを教えてくれる」の両方が54%で、最も多い結果となりました。

Q3. すでに交流がある、世代が離れた人とはどのように出会いましたか。出会いのきっかけについて、できるだけ具体的に答えてください(自由回答)

世代が離れた人々と出会ったきっかけについて自由回答で尋ね、その回答から出現率の高い単語を抽出するために分析ツールを使用しました。その結果、年下コネクトと年上コネクトの両方で、最も多かったキーワードは「趣味」でした。
<自由回答、一部抜粋>
〇年下コネクト
・ スローエアロビクスのサークル(女性、70 代)
・ 趣味のボウリングおよび卓球を通じて出会った(男性、80 代)
〇年上コネクト
・ ソーシャルメディアで趣味の話をしている中でつながっていった(女性、20 代)
・ お互い動画配信アプリのリスナーとして出会った(男性、30 代)

Q4. 人生 100 年時代において、あなたは 100 歳まで生きたいと思いますか?

100歳まで生きたい意向を尋ね、世代間コネクトを持っている人と持っていない人の割合を比較しました。その結果、年下コネクトを持っている人の45%が「とてもそう思う」または「ややそう思う」と回答し、持っていない人と比べて1.36倍高い結果となりました。同様に、年上コネクトも持っている人の方が1.6倍高い結果となりました。

年下コネクトを持つシニアインフルエンサーの大崎博子さんからのコメント

【プロフィール】
1932(昭和 7)年、茨城県出身。78 歳で娘の勧めでパソコンを始め、やがてスマートフォンも使うように。
2011 年 3 月に X(旧 Twitter)アカウントを開設し、等身大の日々の投稿が幅広い世代の共感を呼び、フォロワーは 20 万人超(2023 年 8 月現在)。

デジタルツールを使えると共有の話題で盛り上がれるので、年下の方とつながりができます。私自身、スポーツが好きでバスケットボールや相撲、野球など色々なものを見ていますが、それが年下の人と交流するきっかけになっています。例えば高校野球で、ある学校を応援する投稿を X(旧 Twitter)にすると、「私の出身校。応援ありがとう」というお返事が来ます。誰でも一歳ずつ年をとるもの。新しいことに「できない」「分からない」というのは当然。ちょっとずつ慣れながら、色々なことに挑戦していく気持ちが大切です。

調査結果に関する研究員コメント:白岩 莉子さん

本調査により、10 歳以上年下の人と交流している高齢者は、人生 100 年時代を前向 きに捉えていることが分かりました。自由回答では「色々な事や考え方を知ることが できる」(女性、80 代)との声が上がっており、世代間交流によって新たな楽しみや気 づきを得ることができ、日常の刺激になっているようです。 では、年上の人と交流している側はどう受け止めているのでしょうか。10 歳以上年 上と交流がある 20~64 歳の男女にも質問したところ、自由回答で「経験も豊富で的確 なアドバイスがもらいやすく問題解決につながる」(女性、20 代)という意見があり、 人生の先輩として頼りにしていることがうかがえます。 シニア世代の中で、年下の人に迷惑にならないのかと不安に思う人は、相互に補いあう関係になることを意 識すると良いかもしれません。趣味でお互いに教え合ったり、自身の人生経験が相手の悩み解決のヒントにな ったりするかもしれません。幅広い年代の人とのつながりは、人生を幸せにするヒントをもたらしてくれる可 能性がありそうです。今年の敬老の日は、他の世代と交流する一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

この調査結果から、人生100年時代における世代間交流が、私たちの幸福に与える重要な影響が明らかになりました。世代間コネクトは、幸せな生活を築くための鍵であり、人生100年時代の今、現在世代間コネクトが無い方たちも、積極的に世代が離れた人との交流を求めてみるのはいかがでしょうか。


【100年生活者調査~世代間交流編~】概要

■調査名:100 年生活者調査~世代間交流編~
■調査目的:人生 100 年時代の幸福と世代間交流の関係把握
■調査手法:インターネットモニター調査
■調査期間:2023 年 8 月
■調査対象者:20~80 代の男女 728 名

<参考情報>
100 年生活者研究所では毎週金曜日に、「人生 100 年時代」をテーマとしたニュースを配信しています。記事の詳細は下記 URL にてご確認ください。
研究所 HP:https://well-being-matrix.com/100years_lab/