「終活しよう」ではなく防災から。高齢の親と考える“大切なもの”の備え

離れて暮らす高齢の親と、通帳や印鑑、保険、不動産、相続などについて話したことはありますか。必要だと分かっていても、「終活」という言葉を出すと、なかなか話を切り出しにくいものです。

そんな親子の会話を「防災」から始めるという新しい考え方を、マスターロック・セントリー日本株式会社が提案しています。災害や突然の入院などに備えて、大切な書類や情報がどこにあるのかを家族で確認し、あらかじめ整理しておくというものです。

その取り組みのひとつとして、防災と終活の両方の視点から、親子で確認しておきたいものをまとめた「親の“大切なモノ”チェックリスト」を公開。さらに、親世代と子ども世代を対象にした調査からは、重要書類の保管場所が分からず困った経験や、終活・相続について話す難しさなど、親子が抱えるさまざまな課題も見えてきました。

お盆や夏休みで家族が顔を合わせる機会に、「終活しよう」ではなく「もしものときに困らないよう、大切なものを一緒に確認しよう」。そんな防災から始める家族の備えについて紹介します。

「終活しよう」ではなく防災から。親子で始める大切なものの整理

親が年齢を重ねるにつれて、通帳や保険、不動産、相続など、家族で確認しておきたいことは増えていきます。しかし、「終活」や「相続」と聞くと、必要性を感じていても親子で話を切り出しにくいことがあります。

そこでマスターロック・セントリー日本が提案しているのが、終活を「死後の準備」だけでなく、災害や万が一のときに家族が困らないための“防災”として考えることです。「終活をしよう」ではなく、「災害時に困らないよう、大切なものを一緒に整理しよう」と声をかけることで、親子で話すきっかけを作ります。

藤田実沙さん(防災士)

整理収納アドバイザー、防災士。夫と中学3年生、中学1年生の息子と犬1匹と暮らす。大阪府北部地震をきっかけに防災に目覚める。

暮らしになじむ備えの情報をInstagramやVoicyで発信している。著書に「おしゃれ防災アイデア帖」「おうち防災アイデア」ほか。

今回、防災・終活についてともに考えた防災士の藤田実沙さんは、将来について親と話すことを難しく感じる場合には、まず「安心して生きるため」の会話から始めることをすすめています。防災や防犯について不安に感じていることはないか尋ねたり、雑談のなかで今の親の気持ちを知ったりすることも、その一歩です。また、重要書類などを一カ所にまとめておけば、突然の入院や災害など、必要になったときに家族が保管場所を探す負担も減らせます。火災や水害で失うと困るものについては、耐火・耐水性能を備えた金庫など、安全性を考えた場所に保管しておくのも選択肢のひとつです。

防災をきっかけに「何を大切にしているのか」「家族に何を残したいのか」を親子で話しておくことは、もしものときへの備えだけでなく、親の思いや希望を家族で共有する機会にもなりそうです。

約4割が「保管場所が分からず困った」親子の防災・終活事情

親の入院・介護・相続・葬儀後の手続きなどで、親の重要書類や情報の保管場所が分からず困った経験はありますか?

実際に、親の大切なものがどこにあるのか分からず、困った経験を持つ人は少なくありません。マスターロック・セントリー日本が全国348人を対象に実施した「高齢の親の防災&終活」調査では、親の入院・介護・相続・葬儀後の手続きなどで、重要書類や情報の保管場所が分からず困った経験がある子ども世代は41.4%にのぼりました。

親に終活や相続、重要書類の整理について話そうとして、うまくいかなかった経験はありますか?

一方、終活や相続について親子で話すこと自体にも難しさがあるようです。調査では約3人に1人が、終活や相続、重要書類の整理について話そうとして、うまくいかなかった経験があり、その際の反応として「まだ早いと言われた」が44.4%、「不機嫌になられた」が29.7%となっています。必要な話だと分かっていても、「終活」や「相続」という言葉から話を始めることへのハードルがうかがえます。

あなたは大切なものをどのように保管していますか?

大切なものの保管方法を見ると、親世代で一カ所にまとめている人は30.5%にとどまり、48.9%は通帳や印鑑、重要書類などを複数の場所に分けて保管していました。

あなたは、災害が起きたときに自身の大切なものを持って逃げたいですか?

また、災害が起きたときに自身の大切なものを持って逃げたいと考える割合は、親世代で59.8%、子ども世代で63.3%でした。

こうした結果を見ると、普段から大切なものの種類や保管場所を家族で確認しておくことは、将来の手続きだけでなく災害への備えという面でも大切だと感じます。「終活」という言葉では話しにくくても、防災を入口にすることで、親子で大切なものについて考えるきっかけを作れるのかもしれません。

通帳や印鑑だけじゃない。親子で確認したい「大切なモノ」

では、実際に親子でどのようなものを確認しておけばよいのでしょうか。今回、防災士の藤田実沙さんと考えた「親の“大切なモノ”チェックリスト」では、防災と終活の両方の視点から、もしものときに備えて確認しておきたいものを5つに分けて紹介しています。

まず挙げられているのが、通帳やキャッシュカード、印鑑、保険証券、年金関係書類、不動産関連書類などの重要書類です。さらに、お薬手帳や常備薬の情報、かかりつけ医、緊急連絡先、避難先・避難ルートなど、災害や突然の入院時に必要となる情報も確認項目に含まれています。金融機関や保険会社、不動産の有無、葬儀やお墓、医療・介護に関する希望など、相続や各種手続きに関わる情報も対象です。

特徴的なのは、こうした実用的な情報だけでなく、思い出の写真やアルバム、手紙や日記、家族に渡したいもの、ペットに関する情報なども挙げられていることです。「何を持っているか」だけではなく、「何を大切にしているのか」「家族に何を残したいのか」まで確認できる内容になっています。

チェックリストは無料でダウンロードできるため、すべてを一度に整理しようとせず、親子で話をする際のきっかけとして活用してみるのもよさそうです。大切なものを確認することから始めれば、何から整理すればよいのか迷っている家庭でも、防災や終活について具体的に考えるきっかけになりそうです。

「親の“大切なモノ”チェックリスト」ダウンロード

大切なものは「置いてく」。災害時に迷わず逃げるための備え

水や食料などを防災リュックに入れ、災害時に持って避難する。こうした一般的な備えに加えて、マスターロック・セントリー日本が提案しているのが「置いてく防災」です。これは、災害後の生活で必要になるものや、自分にとって大切なものをあらかじめ安全な場所に保管し、災害時には持ち出そうとせず避難するという考え方です。

同社では、防災リュックなどを使う備えを「持ってく防災」、大切なものを金庫で守る備えを「置いてく防災」と位置づけています。この2つを組み合わせることで、もしものときに「これも持っていかなければ」「大切なものを取りに戻らなければ」と迷うことなく、避難を優先する「逃げ一択防災」につなげます。

「置いてく防災」で保管するものとして挙げられているのは、通帳や印鑑、保険証券、不動産関連書類、年金関係書類、エンディングノートなどです。こうしたものを火災や水害から守る方法のひとつとして、耐火・耐水性能を備えた金庫や保管用品の活用も紹介されています。

マスターロック・セントリー日本では、耐火・耐水性能を備えたさまざまな金庫を展開しています。大切なものを守る準備を日頃からしておき、災害が起きたらまずは自分の身を守る。「何を持って逃げるか」だけではなく、「何を置いて逃げるか」を考えておくことも、防災を見直すひとつのきっかけになりそうです。

防災をきっかけに、家族で「大切なもの」を話してみよう

終活や相続について、高齢の親と話さなければと思っていても、きっかけをつかめない人は少なくないでしょう。そんなとき、「終活しよう」と構えるのではなく、「もしものときに困らないよう、大切なものを確認しておこう」と防災から話を始める方法なら、少し向き合いやすくなるかもしれません。

通帳や印鑑、重要書類の保管場所だけでなく、医療や介護についての希望、思い出の品、家族に残したいものなど、確認しておきたいことはさまざまです。大切なものを整理して安全な場所に保管しておくことは、災害への備えになると同時に、親が何を大切にしているのかを家族が知る機会にもなります。

お盆や夏休みで離れて暮らす家族と顔を合わせる機会があれば、まずは身近な防災の話から始めてみてはいかがでしょうか。今回公開された「親の“大切なモノ”チェックリスト」も活用しながら、もしものときに家族が困らないための備えを、一緒に考えてみてはいかがでしょうか。