職人たちの技術と情熱に光を当てる「HiKOKI BUILDER’S SPIRIT AWARD」の第2回授賞式が、品川 ザ・グランドホールで開催されました。主催は電動・エア工具を手がける工機ホールディングスジャパン株式会社。
普段の暮らしの中で、職人の存在を意識する機会はそう多くありません。けれど、家や街、インフラに至るまで、そのすべてが誰かの手によって支えられているのもまた事実です。
本アワードは、そうした日々の裏側にある努力や挑戦に目を向け、社会を支える職人たちの姿を広く伝える場として2024年に創設されました。今回の授賞式では、仕事への誇りや信念を体現する職人たちの言葉とともに、その価値があらためて浮かび上がる時間となりました。
熟練の技と信念が評価 川﨑浩一さんがグランプリ

厳正な審査を経て選ばれた6人のファイナリストの中から、総合グランプリに選ばれたのは建築大工の川﨑浩一さん。16歳で父に弟子入りし、以来約30年にわたり現場で経験を積んできました。
川﨑さんは、20歳の頃に施主から受け取った感謝の手紙をきっかけに「建築は人の人生を支える仕事」であると実感。現在は設計事務所と協働しながら数多くの物件を手がけるほか、古民家を活用した民泊施設「CONTEXTED」でウッドデザイン賞特別賞を受賞するなど、その活動は多岐にわたります。
受賞にあたり川﨑さんは「職人として30年の節目となる年にこのような評価をいただけたことを糧に、これからも信念を持って技術を磨き続けたい」と語りました。

審査員の芝浦工業大学教授・蟹澤宏剛氏は「本物の素材と確かな技術に裏打ちされた仕事。電動工具を活用しつつ、最後は職人の手仕事で仕上げる姿勢が高く評価された」と講評します。
また川﨑さんは昨年度もファイナリストとしてこの場に立ったことも踏まえ、感慨を交えてこのように話しました。 「昨年、この賞に応募したときも職人として非常に刺激があり、ワクワクしていたことを覚えています。今回再び挑戦する機会をいただき、このような結果につながったことを光栄に思っています」
現場の最前線で活躍する職人たちに各賞

スピリット賞には、多能工職人の松井大凱さんが選ばれました。配管や電気工事、設備施工まで幅広くこなす松井さんは、仕事を始めた1年目、初めてトイレ交換を任された現場で作業を終えて帰るときにお客さまから『ありがとう』と笑顔で声をかけてもらったエピソードを踏まえてこう話しました。
「お客様の感謝の言葉が何よりのやりがい。それを実現するために自分自身の成長を諦めたくない」と語り、日々の積み重ねの大切さを強調しました。

そしてフロンティア賞は東未来さんが受賞。彼女は学校の教師から設備工事の職人へと転身し、水や空調といったインフラを支える現場で活躍しています。
「私の仕事は『水が使える』そんな当たり前を支える仕事です。私に仕事を教えてくれた亡き父もこの仕事に誇りを持って家族を支え、そして世の中を支える存在でした。父がつないでくれたご縁によって、素敵な方々と仕事ができていることを心より幸せに思っております。
当たり前の暮らしを支える仕事に誇りを持ち、次世代にその魅力を伝えていきたい」
東さんは力強くそう語りました。
蟹澤氏は両賞の総評として松井さんについて「多能工という枠を超えた“マルチクラフター”としての姿勢が印象的」と評価。東さんについても「異業種からの転職は世界的には珍しくないことですが、日本ではまだまだこれから。社会を支えるエッセンシャルワーカーとして彼女は先駆的な存在」と述べました。
変わる職人像 ヒロミさんとゆうちゃみさんが語る

当日は、HiKOKIのCCOを務めるヒロミさんと、タレントの古川優奈ことゆうちゃみさんによるトークセッションも実施されました。

大工の家庭に育ったヒロミさんは「昔は厳しいイメージが強かったが、今はスタイルも含めて“かっこいい職業”に変わってきている」と語ります。
一方で、安全確保や集中力維持のために10時と15時に必ず休憩することなど、現場の本質はまだまだ変わっていないと指摘しました。

「私のまわりでも職人さんと付き合う子や好きになる子がたくさんいます。職人ってモテモテなイメージ。SNSで若い職人や女性職人の発信が増えていますし、職人さんは私たちにとって身近な存在になっています」ゆうちゃみさんがそう話すとヒロミさんは笑顔でこう返します。
「その配信を観て、こんな職業も選択肢のなかにあるんだということが若い人の間に広まれば、と思います。こういう仕事もあるんだとか、こういうのもかっこいいなと思ってもらえるといいですよね」
またゆうちゃみさんは職人の仕事について「彼らが命がけで頑張ってくれてるおかげで、今の私たちの暮らしがある。それを忘れないようにしないと」と感謝の意を示しました。
職人の価値を社会へ 主催者の思い

工機ホールディングスジャパン株式会社の吉田智彦社長は「職人の努力と情熱に光を当て、その価値を社会に広く届けたい」と本アワードの意義を強調します。
「今年も一次選考、そして二次選考を通じて、仕事への誇りや、また挑戦心にあふれた方々の思いに数多く触れることができ、非常に密度の高い選考となりました。 その中から選ばれた皆様は、いずれもこのアワードを象徴する存在だと感じております」
また、今年度は各賞で女性の候補者が最後まで奮闘していたことが印象的でした。 業界の広がりや変化、そして新しい可能性を感じる機会でもあったと吉田社長は語ります。
最後に「電動工具は単なる製品ではなく、それを使う職人の技術によって初めて価値が生まれる」と述べ、今後も職人の挑戦を支援していく姿勢を示しました。
第2回を迎えた本アワードは、職人の技術だけでなく、その背景にあるストーリーや志にも光を当てる場となりました。受賞者たちの言葉からは、仕事への誇りと次世代への継承への強い意志が伝わってきました。
社会を支える“職人”という仕事。その価値は、今あらためて見直されています。
当たり前を支える人たちへ これからの視点

普段の暮らしの中で、職人の存在を意識する機会は多くありません。けれど、家や街、インフラに至るまで、そのすべてが誰かの手によって支えられているのもまた事実です。
今回の授賞式を通して見えてきたのは、技術だけではない“人としての在り方”や仕事に向き合う姿勢でした。
何気ない日常の裏側にある努力や想いに、少しだけ目を向けてみる。そんなきっかけを与えてくれる場として、本アワードの存在はこれからさらに意味を持っていきそうです。
職人という仕事が、もっと自然に選ばれ、語られる未来へ。
その流れは、すでに静かに始まっているのかもしれません。









