“子どもが主役”の夏体験 信州こども山賊キャンプが5月15日申込スタート

夏休みの過ごし方に悩む親御さんに、今注目されている子ども向けの体験型キャンプがあります。毎年リピーターが続出し、申込初日には定員の9割が埋まるという人気ぶり。その名も「信州こども山賊キャンプ」。開催地は長野県の自然豊かな泰阜(やすおか)村。運営するのは、自然体験活動を40年以上にわたって行ってきたNPO法人グリーンウッド自然体験教育センターです。

このキャンプの最大の特徴は、大人がプログラムを用意するのではなく、「すべてこどもが決める」というスタイル。何をして遊ぶのか、何を食べるのか、誰とどんな風に過ごすのか。そのすべてを子どもたちが自分たちで話し合いながら決めていきます。仲間と協力して火を起こし、ご飯を作り、自然の中で自由に遊ぶ——。一見シンプルな体験ですが、その中には“自分で考える力”や“他者と協働する力”を育てる仕掛けが詰まっているのです。

普段、学校や習い事では「決められたこと」をこなす毎日を送る子どもたちにとって、自分で選んで動くこのキャンプは、まさに“やる気スイッチ”を押してくれる時間。親たちからは「帰ってきてから自分で料理を始めた」「失敗しても工夫して乗り越えるようになった」など、ポジティブな変化の声も多く寄せられており、単なるレジャーではなく“生きる力”を育てる機会として高い評価を得ています。

そして今年も、いよいよ5月15日から参加申し込みがスタートします。興味のある方は早めのチェックがおすすめです。

人気の理由は?こどもが主役の「自由なキャンプ」

毎年初日の申込で定員の約9割が埋まるという「信州こども山賊キャンプ」。その人気の理由は、決して特別なアトラクションや豪華な設備にあるわけではありません。最大の特徴は、「すべてこどもが決める」というシンプルで力強い方針にあります。

このキャンプには、あらかじめ用意されたプログラムが存在しません。何をして遊ぶか、どんなご飯を作るか、どんなふうに時間を過ごすか。すべてこどもたちが自分たちで考え、話し合い、実行します。「山賊会議」と呼ばれる話し合いの場を通して、自らやることを決め、それに責任を持って行動するスタイルは、学校や習い事ではなかなか得られない貴重な体験です。

自由とは、ただ好きにできるという意味ではなく、自分で選び、責任を持つこと。仲間と意見を交わしながら、時にはぶつかり、時には助け合い、一人ひとりが「自分がこの時間をつくっている」という実感を得られる時間なのです。

大人が決めたスケジュールをこなすのではなく、「やりたいことをとことんやれる」「自分の時間を自分でつくれる」という体験こそが、子どもたちを夢中にさせ、「また行きたい!」と思わせる最大の理由なのかもしれません。

子どもの“やる気スイッチ”が入る理由とは?

「うちの子、集中力が続かないんです…」
そう悩む保護者は少なくありません。実際、リリースでも約6割以上の親が同様の不安を抱えているという調査結果が紹介されています。その背景には、子どもが“やらされている”という感覚のまま日常を過ごしていることがあるようです。

信州こども山賊キャンプでは、「自分で決める」体験がベースになっています。火をおこしてご飯を作る。メニューも作り方も自分たちで話し合って決めます。何をするか、誰とどうやるか、すべて子どもたち自身の判断に委ねられています。こうした「自己決定」の積み重ねが、「自分でできた!」という達成感と自信につながっていきます。

保護者からは「家では包丁を握ったこともなかったのに、帰ってきた翌日から自分で料理を始めました」といった声も。失敗しても、どうすればうまくいくかを考えて工夫し、最後には美味しいご飯を完成させた。そんな経験は、ただの料理体験を超えて、自分の行動に自信を持つきっかけになったのでしょう。

誰かに決められた通りに動くのではなく、自分で選び、責任を持ってやり遂げること。これが、子どもたちのやる気スイッチを押す本質なのかもしれません。

自然・仲間・地域との関わりがSDGsとつながる

近年、多くの学校でSDGs(持続可能な開発目標)について学ぶ機会が増え、子どもたちの認知度は95%に達しています。しかし、知識としては知っていても、実際に何かに取り組んでいる子どもは3割にも満たないという現実があります。大人でも実感を持つのが難しいこのテーマを、子どもたちはどうすれば“自分ごと”として捉えられるのでしょうか。

山賊キャンプでは、その答えを体験を通して伝えています。例えば、キャンプで使う野菜は地元の農家さんが提供してくれたもので、「お野菜マップ」と呼ばれる掲示板で、どの野菜を誰が育てたかが一目でわかるようになっています。ときには農家さんがキャンプ場に来て、野菜を育てる苦労や思いを子どもたちに語ってくれることもあるそうです。

また、調理時の油汚れはペーパーでふき取り、米の研ぎ汁を使って一度洗い、それから水道水で流すという自然への配慮も徹底されています。生ごみも堆肥化するなど、自然を守るための工夫も随所に見られます。

こうした一つひとつの行動は、小さな積み重ねかもしれませんが、「きれいな川でまた遊びたいから、汚さないようにしよう」という気づきや、「野菜を残すのはもったいない」と思える感覚につながっていきます。教科書では学べない“実感を伴う理解”こそが、このキャンプの大きな価値の一つです。

今の暮らしが当たり前じゃないと気づく体験

何気なく食べているご飯、蛇口をひねれば出てくる水、スイッチ一つで点く電気——。日常の中では気にも留めないこれらの便利さが、実はとても恵まれた環境であるということに気づく機会は、なかなか多くはありません。

山賊キャンプに参加した子どもたちは、火を起こしてご飯を作り、水の使い方を工夫しながら、自然の中で暮らすように過ごします。便利なものに頼らずに生活する体験は、今ある暮らしが“当たり前”ではないことを肌で感じさせてくれます。

実際、保護者からは「家に帰ってきてご飯を出したとき、『何もしなくてご飯が出てくるのってすごい。魔法みたい。幸せ。』と言っていたのが印象的でした」という声も。子どもたちは、ただ遊んだり料理したりするだけでなく、その裏側にある人の手間や自然の恵みへの感謝を自然と学んでいるのです。

誰かが作ってくれること、何かがあることを「ありがたい」と思える気持ち。それを体感できる時間が、このキャンプにはあります。子どもたちの視野がぐっと広がり、社会や暮らしを見る目が変わる、そんな“気づきの体験”がここには詰まっているのです。

自分で考え、動く時間が「原体験」になる

自然の中で子どもたちが自分の力で考え、動き、挑戦する。この山賊キャンプには、そんな時間がたっぷりと流れています。決められたことをこなすのではなく、「何をするか」「どうしたいか」を自分で選び、仲間と力を合わせて行動する経験は、ただの“思い出”にとどまらず、心の深いところに残る“原体験”として、これからの人生に確かな影響を与えてくれるはずです。

「自分で決めた」「やりきった」「誰かと協力できた」という実感。それは、子どもたちの中に静かに、でも確かに残り続けます。そしてその体験こそが、今を生きる力となり、未来へ向かう自信へと変わっていくのではないでしょうか。


開催概要と申込情報

イベント名:信州こども山賊キャンプ
開催期間:2025年7月23日~8月24日
場所:長野県下伊那郡泰阜(やすおか)村 左京川キャンプ場ほか
対象:全国の小中学生
コース:ベーシック・チャレンジ・スーパー・ゼロの全4種(2泊3日〜11泊12日)
集合解散場所:東京・名古屋・長野県内・現地(バス送迎あり)
申込方法:公式サイトの申込フォーム、または郵送・FAX

公式サイト:https://www.greenwood.or.jp/sanzoku/