大学という場所は、授業や研究を行う場であると同時に、地域にとっては身近な存在でもあります。
特に災害時には避難所としての役割を担うこともあり、地域とのつながり方が問われる場でもあります。
大阪経済大学で開催された「だいけいだいキッズスマイルフェスタ」は、そうした大学の役割を、子どもや家族にとって分かりやすい形で伝える取り組みでした。
防災、教育、福祉という一見すると難しく感じられるテーマを、体験を通して自然に学べる場として企画され、多くの来場者でにぎわいました。
会場では、遊びの延長のような感覚で防災に触れられる体験や、学生と地域の人が一緒に関わるブースが並び、大学と地域が同じ目線で時間を共有している様子が印象的です。
知識を一方的に伝えるのではなく、「一緒に考え」「一緒に体験する」姿勢に、このフェスタの特徴が表れていました。
本記事では、このイベントを通して見えてくる大阪経済大学の取り組みの意義や、地域と向き合う姿勢について紹介していきます。
地域に開かれた大学だからこそ生まれたフェスタ

「だいけいだいキッズスマイルフェスタ」が印象的なのは、単に子ども向けの催しを行ったという点ではありません。
この取り組みの背景には、大阪経済大学が地域とどのような関係を築こうとしているのかという姿勢がはっきりと表れています。
大阪経済大学のキャンパスは、災害時には地域の避難所としての役割を担う場所でもあります。
そのため、防災は大学だけの課題でも、行政だけの課題でもなく、地域全体で向き合うべきテーマとして位置づけられています。
今回のフェスタは、そうした考え方を前提に、地域と連携しながら実施されたものです。

特徴的なのは、防災を「特別な知識」や「非常時の話」として切り離さず、日常の延長線上で捉えている点です。
子どもたちが楽しみながら参加できる形にすることで、防災や福祉といったテーマを、自然と身近なものとして感じられる工夫がなされています。
また、このフェスタは昨年度に続いて2回目の開催となります。
一度きりのイベントではなく、継続して取り組んでいる点からも、地域との関係づくりを長期的に考えていることがうかがえます。
大学が地域に向けて門戸を開き、人が集い、学び合う場をつくるという姿勢が、この取り組みの土台になっています。
大学というと、どうしても学生や教職員だけの閉じた空間を想像しがちですが、このフェスタはそうしたイメージとは少し異なります。
子どもや家族が気軽に足を運び、学生と同じ空間で時間を過ごすことで、大学が地域の中にある存在であることを実感できる機会となっていました。
遊びながら学ぶ体験が、防災を「自分ごと」に変えていく

会場で用意された体験プログラムは、防災・教育・福祉というテーマを、子どもたちが無理なく受け取れるよう工夫されたものばかりでした。
特徴的なのは、知識を教え込む形ではなく、実際に手を動かし、考え、楽しむ中で学びにつながる設計になっている点です。
防災に関する体験では、地震や豪雨といった災害を疑似的に体感できる企画や、クイズやゲーム形式で防災について考える内容が用意されていました。
災害という言葉から連想されがちな不安や怖さよりも、「知ること」「備えること」の大切さに自然と意識が向く構成になっています。
子どもたちにとっては、初めて触れる内容であっても、遊びの延長として受け止めやすい体験だったと言えます。

一方で、教育や福祉をテーマにしたブースも充実していました。
ロボットを操作して人を助ける体験や、ものづくりを通じて仕事を知る企画、高齢者と学生が関わる場など、さまざまな立場の人と接点が生まれる内容が並びます。
これらは将来の進路や社会との関わりを意識するきっかけにもなり、学びの入り口としての役割を果たしていました。
こうした体験が持つ意味は、単なる「楽しいイベント」にとどまりません。
防災や福祉といったテーマを、特別なものとして切り離すのではなく、日常の中で誰もが関わるものとして捉え直す機会になっています。
体験を通して得た気づきは、家庭に持ち帰られ、会話のきっかけとして広がっていく可能性もあります。

数多くのプログラムが用意されていたこと自体も、このフェスタの特徴です。
どれか一つに正解があるわけではなく、それぞれの関心や年齢に合わせて体験を選べることで、参加者一人ひとりにとっての学びが生まれる場となっていました。
学生と地域が同じ目線で関わる場として

このフェスタを支えていたのは、会場に集まった来場者だけではありません。
運営や各ブースの進行には、多くの学生が関わり、子どもたちや家族と同じ目線でコミュニケーションを取っていました。
学生たちは、教える側として一方的に説明するのではなく、体験を一緒に楽しみながら声をかけ、参加者の反応に合わせて関わっていきます。
そうした姿勢が、会場全体の雰囲気をやわらかくし、初めて訪れた人でも安心して参加できる空気をつくっていました。

地域の団体や企業と連携したブースも多く、大学の中に地域の活動が自然に溶け込んでいる点も印象的です。
大学が中心となりながらも、主役は学生や地域の人たちであり、それぞれが役割を持って場をつくっていることが伝わってきます。
こうした関わりは、学生にとっても学びの機会になります。
社会や地域と接点を持ち、実際の現場で人と向き合う経験は、教室の中だけでは得られないものです。
一方で、地域にとっても、大学や学生をより身近な存在として感じられるきっかけになります。

フェスタという一日のイベントでありながら、人と人との距離を縮める役割を果たしている点は、この取り組みの大きな価値だと言えるでしょう。
大学が地域に開かれた場であり続けるために、こうした機会が積み重ねられていることが伝わってきます。
日常の延長線上で、防災と向き合うということ

「だいけいだいキッズスマイルフェスタ」は、防災や福祉、教育といったテーマを、特別な知識として切り離すのではなく、日常の中で自然に考えるきっかけをつくる場でした。
子どもたちが体験を通して学び、学生や地域の人と同じ空間で時間を共有することで、大学が地域の一部として機能しようとしている姿勢が感じられます。
災害への備えは、いざという時だけ意識するものではなく、普段の暮らしの中で少しずつ積み重ねていくものです。
その入り口として、家族で参加できるこうした取り組みは、多くの人にとって防災を身近に感じる機会になったのではないでしょうか。
大学が地域に開かれた場として、人と人をつなぎ、学びを共有する。
今回のフェスタは、その姿勢を分かりやすい形で示す取り組みの一つだと言えます。
今後も、地域とともに歩む大学の活動が、こうした場を通じて積み重ねられていくことが期待されます。
大阪経済大学 概要
大阪経済大学は、大阪市東淀川区にキャンパスを構える私立大学です。
建学の精神に「自由と融和」を掲げ、自由な発想と人との調和を大切にしながら、社会と向き合う姿勢を育む教育を行っています。
また、講義やゼミを通じた専門分野の学修に加え、社会との関わりを意識した学修環境を整え、学生が主体的に学びを深められるよう取り組んでいます。









