ごみ拾いがスポーツに?スポGOMIワールドカップ2025 東京大会に注目集まる

「拾ったごみの量で日本代表が決まる」。そんな一風変わった大会が、7月の東京で行われました。競い合うのは、サッカーでもバスケでもなく、“ごみ拾い”。スポーツとごみ拾いを組み合わせた新しい取り組み「スポGOMI(スポごみ)」が今、じわじわと注目を集めています。

3人1組のチームで街に出て、60分間で拾ったごみの量や種類に応じてポイントを競い合うというこの競技。参加する人にとっては、運動しながら街をきれいにできるという一石二鳥のイベントでもあります。

今回、東京都で行われた予選大会には、子どもから大人まで幅広い世代が参加し、39チーム・116名が汗を流しました。中でも見事優勝を果たしたのは「クリーンmen Aチーム」。その拾ったごみの総量はなんと16.81kg。全国大会、そして世界大会への出場も視野に入る結果となりました。

大会当日は炎天下のなか、最年少は4歳、最年長は68歳という幅広い参加者たちが、楽しみながらも本気でごみを拾う姿が印象的です。競技でありながら、街や環境への貢献にもつながる――そんな新しい形のスポーツが、静かに広がりを見せています。

スポGOMIとは? ごみ拾いを“競技”にした日本発のアイデア

スポGOMIは、「スポーツごみ拾い」の略で、日本で生まれた新しいスタイルの環境活動です。内容はとてもシンプルで、3人1組のチームで街に出て、決められた時間内にごみを拾い、その種類や重さに応じてポイントを競い合うというものです。

例えば、ペットボトルや空き缶などの分別がきちんとできていたり、重いごみを多く集めたりすると高得点につながります。競技時間は60分。限られた時間の中で、どのルートをどう攻めるか、どの場所にごみが多いかなど、チームごとの戦略も試される場面です。

スポGOMIの魅力は、運動としての要素と、街をきれいにする社会的な意義の両方を兼ね備えていることです。体を動かしながら、環境にも貢献できる。そんな活動が、今では日本国内だけでなく、世界に広がりつつあります。

今回の東京大会は、「スポGOMIワールドカップ2025」の日本代表を決める予選のひとつでもありました。最終的には世界各国の代表が日本に集まり、グローバルな舞台でごみ拾いの腕を競い合う予定です。

東京での予選に39チームが参加 子どもから高齢者まで集結

2025年7月26日、東京都江東区にある東京国際交流館で開催されたのが、「スポGOMIワールドカップ2025」の国内予選大会となる東京STAGEです。会場には、合計39チーム・116名の参加者が集まりました。1チームは3名で構成されており、年齢層も幅広く、最年少は4歳、最年長は68歳という多世代が入り混じるユニークな大会となりました。

夏の暑さが厳しいなかでも、参加者たちは元気いっぱいにごみを拾い集め、競技としても、街をきれいにする活動としても、会場には充実した雰囲気が広がっていました。特に印象的だったのは、子どもたちの姿。ごみを見つけるたびに「あったー!」と声を上げながら、草むらの中まで手を伸ばして拾う様子は、競技であると同時に、遊びや学びの一環としての側面も感じさせます。

この日の大会を通じて、集まったごみの総量はなんと131.01kg。普段、目に留まりにくい場所に潜んでいたごみが、参加者の手によって次々と集められていきました。東京という都市の一角で、ごみ拾いが競技となり、人々の交流や環境意識を育む時間になったことが、この大会のもう一つの成果と言えるかもしれません。

クリーンmen Aチームが優勝!ごみ16.81kg・2148.9ポイントを獲得

全39チームがしのぎを削った東京STAGEで、見事優勝に輝いたのは「クリーンmen Aチーム」でした。ごみの総重量は16.81kg、獲得ポイントは2148.9ポイントという高得点で、2位チームに対して400ポイント以上の差をつけての堂々たる勝利です。

このチームは、日頃から清掃活動を行っているということもあり、エントリー時点から「絶対に優勝します」と意気込みを語っていたそうです。その言葉通りの結果となり、実力と準備の両方がしっかりと発揮された大会でした。

優勝の背景には、単にごみを拾うだけではなく、どこにごみが多く落ちているかを事前にリサーチし、作戦を立てて行動していた点も挙げられます。実際に、車道沿いのような人目につきにくい場所には多くのごみが残されており、効率よくポイントを稼ぐうえでも戦略が重要であることがうかがえます。

この結果により、「クリーンmen Aチーム」は、2025年9月21日に開催される全国大会「スポGOMIワールドカップ2025 日本STAGE」への出場権を獲得。さらにその先には、世界各国の代表が集う国際大会「FINAL」も控えており、引き続き注目が集まりそうです。

集まったごみは131.01kg 街の現状が見えてきた

東京STAGEの当日、参加者たちによって回収されたごみの総量は、なんと131.01kgにも達しました。短時間のイベントで、これだけの量が集まるという事実は、街の中に想像以上のごみが潜んでいることを示しています。

実際に拾われたごみには、空き缶やペットボトルといった日常的なものが多く見られました。中には草むらの奥や歩道のすき間など、人目につきにくい場所に隠れていたものも多く、参加者が全身を使ってごみを探し出す姿も印象的だったようです。

参加者の年齢層が広かったことも、今回の大会の特徴のひとつです。小さな子どもたちが「ここにあったよ!」と声を上げてごみを見つける姿や、家族や仲間と協力して袋をいっぱいにする様子は、イベントが単なる清掃活動にとどまらず、人と人とのつながりや、地域との関わりを育む場にもなっていることを感じさせます。

ごみを拾うことが、日常の延長ではなく“特別な時間”になる。そうした仕組みが、このスポGOMIという活動の魅力なのかもしれません。

「勝ちにこだわった作戦でした」優勝チームの言葉

今回の東京STAGEで見事優勝を勝ち取った「クリーンmen Aチーム」は、普段から清掃活動に取り組んでいるチームです。その経験値を活かし、大会に向けてしっかりと戦略を練って臨んだことが、今回の好成績につながりました。

「行くルートを事前に決めて、『もうそこしか行かない!』と作戦を立てました」と語る彼らは、無駄のない動きでポイントを着実に稼いでいきました。中でも注目したのは、車が通るような通り道。人目につかない場所にごみが集中していたことから、その“リアルな風景”を活かす形で得点を伸ばしていったそうです。

コメントの最後には、「日本STAGEでも、皆さんの分まで絶対勝ちますのでよろしくお願いします」と、力強いメッセージも。地域の予選を超え、全国、そして世界のステージへと挑戦を続ける姿には、ごみ拾いを超えた“本気の競技者”としての熱意がにじんでいます。

こうした一言一言からも、この大会がただのイベントではなく、参加者たちにとって目標を持って挑む場になっていることが伝わってきます。

ごみ拾いが、楽しくて誇らしいことに変わっていく

ごみ拾いというと、これまでは「地道で大変な作業」というイメージを持っていた方も多いかもしれません。しかし、今回のスポGOMIのように、ルールを設けてチームで競い合いながら取り組むことで、ごみ拾いはもっと楽しく、もっと前向きなものへと変わっていきます。

特別な道具や難しい技術がなくても、誰でも参加できて、達成感があり、社会の役にも立てる。そんなシンプルで強い魅力が、このイベントには詰まっています。子どもたちの元気な声や、真剣な大人たちの姿からは、ごみ拾いが“自分ごと”として楽しまれていることが感じられました。

身近なところから環境に目を向けるきっかけとして、そして何より、自分のまちをもっと好きになるために。スポGOMIのような取り組みが広がっていけば、ごみ拾いは、義務でもボランティアでもなく、自然と誇らしくなれる行動になっていくのかもしれません。