子どもたちの願いが彩る七夕限定展示がトキワ荘マンガミュージアムで開催中!

東京・豊島区にある「トキワ荘マンガミュージアム」で、七夕の時期に合わせた特別な展示が行われています。飾られているのは、子どもたちが描いた約4,000枚もの“ぬりえ短冊”。 短冊には、手塚治虫の「ブラック・ジャック」や藤子・F・不二雄の「ドラえもん」など、昭和の名作マンガに登場するキャラクターが描かれており、「絵がうまくなりますように」「家族が健康で過ごせますように」といった願いごとが添えられています。

「トキワ荘」は、1950年代から60年代にかけて、多くの人気マンガ家たちが若手時代を過ごした伝説のアパートです。手塚治虫をはじめ、藤子不二雄、赤塚不二夫、石ノ森章太郎など、のちに日本のマンガ文化を支える巨匠たちが、ここで切磋琢磨しながら夢を追いかけていました。その歴史を後世に伝えるため、跡地近くには「トキワ荘マンガミュージアム」が整備され、2020年に開館しました。

今年で5周年を迎えるこのミュージアムでは、記念事業として、地域の子どもたちと共に「七夕飾り」の企画を実施。地元だけでなく姉妹都市・長野県箕輪町の子どもたちも参加し、ミュージアムと公園の2会場に、笹竹40本に結ばれた色とりどりの短冊が飾られています。マンガの舞台であり、夢の原点でもある「トキワ荘」を彩るこの七夕飾りには、未来への希望と文化の継承という想いが込められているように感じられます。

“夢を追う原点”としてのトキワ荘

昭和の時代、多くのマンガ家が青春時代を過ごしたことで知られる「トキワ荘」。その精神を受け継ぐ場所として、2020年に誕生したのが「トキワ荘マンガミュージアム」です。建物は、かつてのトキワ荘を忠実に再現したもので、室内には原稿机や共同炊事場など、当時の暮らしぶりを伝える展示が並んでいます。

なぜ今、この場所が注目されているのでしょうか。それは、かつて夢を追いかけていた若者たちの姿が、現代にも通じる力を持っているからかもしれません。効率や結果が求められる現代にあって、がむしゃらに創作に没頭した彼らの姿は、何かを始めたいと願う人たちに勇気を与えてくれるようにも感じます。

今回の七夕企画も、そんな“夢を描く場所”としてのトキワ荘の価値を、子どもたちや地域の人たちと一緒に見つめ直す取り組みのひとつです。

子どもたちの願いが結ばれた七夕飾り 約4,000枚のぬりえ短冊が彩るミュージアム

今回の展示は、トキワ荘マンガミュージアムの開館5周年を記念した企画として開催されているものです。七夕にあわせて行われるこの催しでは、地域の子どもたちが描いた“ぬりえ短冊”を、館内と隣接する南長崎花咲公園に飾り付け、訪れた人たちをやさしく迎えてくれます。

ぬりえ短冊には、手塚治虫の「ピノコ」や藤子・F・不二雄の「ドラえもん」など、誰もが一度は目にしたことのあるマンガキャラクターたちが登場。短冊には「絵がうまくなりたい」「家族が健康でいられますように」といった、子どもたちの素直な願いごとが添えられています。

この企画には、豊島区内の保育園や小学校だけでなく、姉妹都市である長野県箕輪町の子どもたちも参加しており、その数は合わせて約4,000枚にものぼります。展示に使用されている笹竹は40本。地域の人々や区の職員によって1枚1枚丁寧に飾り付けられ、公園内に鮮やかな“願いの森”が出現しています。

こうした季節の行事を通して、地域の子どもたちの想いと、トキワ荘が持つ「夢を描く場」というメッセージが静かに重なっていく光景は、訪れる人々の心にも小さなあたたかさを届けてくれるのではないでしょうか。

ぬりえで出会うレジェンドキャラクターたち

展示の主役となっている“ぬりえ短冊”は、トキワ荘マンガミュージアム限定で配布された特別なもの。単なる願いごとの短冊ではなく、マンガの名キャラクターたちを自分の好きな色で塗ることができる、子どもたちにとってはちょっとした作品づくりのような楽しさがあります。

登場するキャラクターは全部で11種類。たとえば、手塚治虫の『ブラック・ジャック』に登場する「ピノコ」や、藤子・F・不二雄の「ドラえもん」、赤塚不二夫の「もーれつア太郎」、石ノ森章太郎の「サイボーグ009」など、どれも昭和を代表する人気マンガばかりです。親世代が夢中になった作品を、今の子どもたちが“ぬりえ”という形で楽しみながら出会えるのも、この企画ならではの魅力といえそうです。

中には、地域にゆかりのあるマンガ家や、トキワ荘で過ごした作家たちのキャラクターも登場しており、子どもたちが色を塗る過程そのものが、マンガの歴史にふれるきっかけにもなっています。

キャラクターをきっかけに、自分の願いごとと向き合いながら、短冊に思いを込めていく。この展示は、七夕という日本の風習とマンガ文化が、ぬりえというやさしい手段で交差する、心地よいコラボレーションとなっています。

子どもたちの夢が重なるこの街で

豊島区の担当者によれば、今年は例年にも増して多くの短冊が集まったそうです。展示された約4,000枚の短冊には、一人ひとりの小さな夢が込められており、そのひとつひとつが、見る人の心をやさしく動かします。

この地にかつてあった「トキワ荘」は、若きマンガ家たちが夢を追いかけ、努力を重ねた場所。その“夢の舞台”である街が、今もなお多くの願いを受けとめる場として機能していることに、時代を越えたつながりを感じずにはいられません。

キャラクターとともに描かれた子どもたちの想いは、当時のマンガ家たちのように、未来に向かってまっすぐに伸びていく。そんな希望の風景が、この七夕飾りの中には詰まっているようです。

マンガの街が届ける、願いの風景

トキワ荘マンガミュージアムで行われている七夕飾りの展示は、ただの季節イベントにとどまらず、子どもたちの夢と、かつてこの地で夢を追ったマンガ家たちの歩みが重なる、特別な意味を持った取り組みです。

短冊に描かれたカラフルなキャラクターたちは、子どもたちの想像力を広げ、願いごとにそっと寄り添ってくれる存在。誰かの夢が、また次の誰かの夢を後押ししていく。そんな連鎖が、きっとこの街では静かに息づいているのかもしれません。

七夕の笹に揺れるひとつひとつの短冊に、未来のストーリーが始まっている。そう感じさせてくれる展示です。


トキワ荘マンガミュージアム 七夕飾り 展示概要

期間:2025年7月4日(金)〜7日(月)
※7日(月)はミュージアム休館、笹竹の展示のみ実施予定

会場:トキワ荘マンガミュージアムおよび南長崎花咲公園(トキワ荘公園)
(所在地:東京都豊島区南長崎3-9-22)

ぬりえ短冊に登場するキャラクター(一部):
手塚治虫「ブラック・ジャック」よりピノコ、
藤子・F・不二雄「ドラえもん」、
石ノ森章太郎「サイボーグ009」、
赤塚不二夫「もーれつア太郎」など、全11種類が用意されています。

URL:https://tokiwasomm.jp/exhibition/2025/06/content-6.php